【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(最終回)

■登山は人の優しさが身に染みる

翌日は6時に朝食を済ませ、早々に大日小屋を出発しました。
朝早いとはいえ、帰りは来た道を戻るだけなので、行きに比べれば精神的にもかなり楽。布団で熟睡できたので、体調も万全でした。

「帰りは下りが多いので、だいぶ早いですよ」という佐伯さんの言葉通り、前日とは打って変わってスイスイと進んでいきます。トレッキングポールが効率的に使えるようになり、水分や行動食の補給タイミングもわかってきたので、ここにきてようやく登山を楽しめたというのが筆者の本音。

当初、雷鳥沢キャンプ場でもう一泊してから下山する予定でしたが、「天気が崩れそう」ということで急遽変更。ガイド佐伯さんの紹介で、立山駅近くにあるペンション愛花夢(あいかむ)の部屋を確保することができたので、下山を前倒しすることになったのです。

山の天気は変わりやすいと言いますが、今回のような急な天候の変化でも臨機応変に対応できたのは、山のプロであるガイドさんが同行してくれているから。初心者には本当に心強い存在です。

雷鳥沢キャンプ場には予定通り15時過ぎに到着。雲行きも怪しく、遠くでカミナリの音が聞こえてきましたが、なんとかギリギリ最終バスに乗り込み、下山。立山駅でレンタル品を返却して、ペンション愛花夢へと向かいました。

今回、2600m級の稜線を家族で歩くという貴重な経験ができたのは、ガイドの佐伯さんをはじめ、大日小屋スタッフの手厚いサポートがあったからこそ。日頃からキャンプに出かけているので、アウトドアで過ごす大変さや楽しさはわかっているつもりでしたが、道具一式を背負って行動する登山を体験して、あらためてアウトドアの壮大さに気が付きました。

高山登山の魅力は、素晴らしい景色をパノラマで楽しめ、そこを自分の足で歩いているという感動に尽きます。もちろん、道中は厳しくてツライときもありますが、一緒にいるみんなが助け合い、励まし合って登っていくところに、人の優しさも感じました。

登山は普通、低山から徐々にステップアップしていくというのが定石かもしれません。でも、立山であれば、筆者のような初心者ファミリーでも、ガイド付きの安心安全な高山登山が楽しめます。来年度からは、ツアーが本格スタートということなので、夏の思い出つくりに、家族の絆を深めるためにも検討してはいかがでしょうか?

(完)

<リンク>
ゆくたび、たてやま
「初心者でも安心! ガイドさんと手ぶらで登山!」
https://yukutabi-tateyama.jp/trekking/
レンタルショップTABO
https://www.tateyama3015.net/rentall
雷鳥沢ヒュッテ
https://www.raichozawa.net/
ペンション 愛花夢
https://www.aicamu.com/

文:まついただゆき
写真:下城英悟

【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(第5回)

■登山は一歩一歩の積み重ね

奥大日岳から大日小屋への道のりは、前半戦をはるかに凌ぐ難ルートの数々。足を滑らせたらひとたまりもない崖っぷちを、一歩一歩慎重に、油断大敵の気持ちで進んでいきます。

「大日岳は北アルプス登山の入門的なコース」と佐伯さんは言いますが、登山初心者にとっては「ここが道?」というような岩場を登ったり、急なはしごを下ったりして進んでいきます。幸い、雲が出てきて午前中よりも涼しい山行でしたが、それでも雪渓に入るたびに、雪をすくって身体を冷やさないとバテてしまうほどでした。

30~40分に一度の小休止を取りながら、黙々と登り続けること4時間、ようやく大日小屋まであと一歩のところで、運良くライチョウにも出会えました。昔から「神の使い」として大切にされてきたライチョウ、この時期はちょうどヒナが誕生する時期だそうで、運良くライチョウ親子に出会えたことはここまでの頑張りのご褒美だったのかもしれません。

雷鳥沢キャンプ場を出発してから約8.5時間、午後4時過ぎに無事に家族そろって大日小屋に到着しました。ゴールの瞬間は本当に達成感がありましたし、子供たちが一生懸命に頑張る姿勢を間近で見られたのは、親にとってはかけがえのない思い出です。

すっかり疲れ切ったと思っていた子供たちは、はじめての山小屋に大興奮。2段ベッドの寝室や、小屋からの景色に感動した様子で、半日におよぶ山行の後とは思えないほど元気いっぱい。ちょうど日没の時間でもあったので、目の前の剣岳がみるみる赤く染まっていく様子を、持参したデジカメで撮影して盛り上がっていました。

一方で大人たちは待望の缶ビールで乾杯。「ランプの小屋」の異名を持つ大日小屋のムーディな食堂で、おいしい夕食に舌鼓を打ち、束の間の休息(休足)を味わいました。

次回「登山は人の優しさが身に染みる」に続く..

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ゆくたび、たてやま
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文:まついただゆき
写真:下城英悟

【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(第4回)

■想像以上のガチ登山に父娘ピンチ!

翌朝、6時に起床するとすでに多くの人たちが行動を始めていました。山の朝は早いなぁ、なんて思いながら起き上がると、何やら右膝に違和感が…。どうやら、前日に軽くひねって(内緒にして)いた膝が急に痛み出しているようです。冷やさないといけないところを、温泉で温めてしまったことが災いした様子。

「とりあえず、膝をテーピングで固定しておきましょう。あと、トレッキングポールを使うと脚への負担が15%軽減されるので、使ってみましょう」と佐伯さん。たしかに、ポールを使うと痛みがだいぶ和らぎます。早くもガイドさんが同行してくれるありがたみを痛感。

雷鳥沢キャンプ場から大日小屋までは、距離にすると約6km。数字だけ見ると近そうに感じますが、途中2つのピークを通るのでアップダウンが激しいうえに、鎖場やはしごなど、道なき道を進む場所も結構あります。最初のうちはゆるやかな稜線沿いを進んでいくので、絶景を楽しみながら、高山植物の説明に耳を傾けながら歩いていましたが、照りつける太陽にだんだんと体力を消耗していきます。

「まずは奥大日岳というひとつめのピークを目指しましょう。12時くらいに着けるのが理想ですね」と佐伯さん。サッカーをやっている10歳の息子はあふれんばかりの体力でスイスイと登っていきますが、重い荷物を背負っての慣れない岩場や雪渓に、40半ばの筆者はすぐに息が上がってしまいます。

また、8歳の娘は予想以上の激坂の連続からか、早々にリタイア宣言。どんなに励ましてもなだめても気持ちが前向きにならず、このままでは大日小屋までたどり着けないかも…、という事態になってしまいました。それでも「みんなと一緒に行きたい」となんとか気を持ち直して、登山を再開。小さな足で一歩一歩踏みしめ、予定を大幅に遅れること13時過ぎ、ようやく奥大日岳のピークに到着することができました。

標高2611mの奥大日岳からの眺望はとにかく最高で、目の前には鋭鋒・剣岳がそびえ立ちます。また、今までは見えなかったゴールの大日小屋が、(遥か彼方に)目視できるように。
「みなさんよく頑張りました。ここでようやく工程の半分以上は終わりました。この先はさらにアップダウンが続くので、しっかり休んでおいてください」と佐伯さん。昼食に用意してくれた菓子パンをかじり、足りなくなった水分を補給してもらって後半戦に臨みます。

次回「登山は一歩一歩の積み重ね」に続く..

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文:まついただゆき
写真:下城英悟

【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(第3回)

■標高2500m、雲上のパラダイス!

室堂は「雪の大谷」でも有名なアルペンルート観光の要の場所。真夏でも雪が至るところに残っていて、それを見た子供たちは早くも大はしゃぎ。雲を下に見下ろし、パノラマで広がる美しい北アルプスの景色は、ここが日本だということを忘れさせてくれます。まさに雲上のパラダイス!

「ここから1時間くらいかけて、本日のキャンプ地、雷鳥沢キャンプ場を目指しましょう」という佐伯さんの掛け声で一同スタート。北アルプスで最も美しい火山湖と言われるみくりが池を眺めながら、アップダウンのある石畳を進んでいきます。

午後5時、雷鳥沢キャンプ場に到着。さっそくレンタルしてきたテントを設営して、夕食の準備に取り掛かります。といっても、料理をしてくれるのはガイドの佐伯さん。調理器具や食材も佐伯さんが準備してきてくれているので、我が家は近くにある雷鳥沢ヒュッテの温泉へ。「大日小屋には風呂がなく、シャワーも浴びられない」ということなので、この日のうちに汗をしっかり流して、英気を養います。

夕食を食べながらガイドの佐伯さんと明日の工程を確認。キャンプ場から大日小屋への道のりは長く険しいということを改めて聞き、少々不安になる筆者。大人でも片道5時間ということなので、8歳の娘を連れての工程だと、果たしてどのくらいかかるのか…。そもそも、登ることができるのか…。そんな心配が急に襲ってきます。とはいえ、考えてもしょうがない。しっかり寝て、体力を温存しようということで、満点の星空に後ろ髪を引かれながら10時には眠りに落ちました。

次回「想像以上のガチ登山に父娘ピンチ!」に続く..

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文:まついただゆき
写真:下城英悟

【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(第2回)

■装備を整えてスタート地点の室堂へ

7月某日。東京から新幹線で富山駅に向かい、アルペンルートの出発点である立山駅でガイドの佐伯知彦さんと合流しました。佐伯さんは立山の麓で生まれ育ち、富山県のガイドで初めてエベレストの登頂にも成功した人物。子供を対象としたアウトドアツアーの企画も数多く手掛けているため、我が家の子供たちともすぐさま打ち解けてくれました。

まずは登山に必要な道具を立山駅構内にあるレンタルショップ「TABO」で借りるのですが、その前に佐伯さんによる持ち物チェック。登山の基本を知らない我が家のバックパックには、余分な荷物がいっぱい。着替えや行動着を必要最低限にすることで、なんと半分の荷物が不要という判断になりました。

レンタルショップでテントや寝袋、レインウエア、トレッキングポールをレンタル。トレッキングシューズやザック、防寒着と、登山に必要な道具はすべてそろっているので、「肌着とパンツ以外は手ぶらで来てもなんとかなります(佐伯さん)」というのもうなずけます。

バックパックの空いた部分にレンタルしたギアを詰め込んで準備完了。ケーブルカー(約7分)と高速バス(約50分)を乗り継いで、標高2450mの室堂ターミナルへと向かいます。

「高山病予防のためにも、バスの中では寝ないようにしてください。あと、呼吸を深くすることを意識してください」と佐伯さん。東京を朝早く出発しましたが、車窓からの素晴らしい景色は寝るのも惜しいくらい。というわけで、あっという間に室堂に到着しました。

次回に続く..

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文:まついただゆき
写真:下城英悟

【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(連載第1回)

■初心者向けの登山ツアーに家族で参戦

ひょんなきっかけから、家族4人で立山登山へ行ってきました。筆者は8歳からキャンプをはじめ、現在はその趣味が高じて雑誌やWEB、広告などでキャンプやアウトドアの魅力や楽しさを伝える活動をしておりますが、登山に関してはまったくのド素人です。

ふたりの子供は10歳と8歳。ともに1歳からキャンプに連れて行っているので、アウトドアでの生活は慣れ親しんでいるものの、こちらも登山経験はまったくなし。妻に至っては、登山は小学生の遠足以来です。そんな登山初心者のキャンプ好きファミリーが、今回、大日岳にある山小屋「大日小屋」のサポートのもと2泊3日のガイド付き立山登山に挑戦してきました。

「立山登山の裾野を広げるために、初心者でも楽しめる登山ツアーを企画検討しているんです。そのテストツアーの体験をしてみませんか?」と大日小屋から問い合わせがあったのはちょうど1年前。実はここの山小屋のオーナの奥様と筆者は小・中学校の同級生という関係で、そんな縁もあって登山初心者の我が家に白羽の矢が立ったというわけです。

「初心者でもアウトドアが好きなら大丈夫!」「装備は全部レンタルできる!」「ガイドもいるから何かあっても安心!」という同級生の言葉を信じて、(立山の厳しさをよく知らないまま)2つ返事でOKしました。

次回に続く..

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ゆくたび、たてやま
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大日小屋
http://www.dainichigoya.jp

文:まついただゆき
写真:下城英悟

明日から 【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(全6回) を連載します。


写真:下城英悟

突然ですが!!
明日から
【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(全6回)
を連載します。

コロナ禍の影響でキャンプブームが更なる盛り上がりをみせていると聞きます。アウトドアに興味を持った方にも是非登山の素晴らしさを知って貰いたい!だけど、登山って危険と隣り合わせなので最初はちゃんとした指導者と共に楽しんでもらいたい。そんな私の思いをキャンプライターのまついただゆきさんご家族に体験してもらいました。

大日小屋オーナーは山小屋の3代目。つまり生まれた時から山が生活の一部であった人です。その妻である私は、登山愛好家の両親のもと、ものごころつく前から(一般ルートのみですが)山登りに連れて行かれています。
そんな私たち山ヤの感覚と山に登ったことのない人の感覚がこうも違うのか!という珍道中!!
これを読んで山に登ったことのある方も、無い方も山登りに思いを馳せていただければ幸いです。

そんなわけで明日から
【登山初心者が挑戦】キャンプ好きファミリーが「ガイド付き立山登山ツアー」に行ってきた(全6回)
を連載します。

Twitterの方は文字数の問題で掲載が難しいので大日小屋ブログにリンクさせていただきます。
お楽しみに!

キャンセル割合について

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ネット予約でのキャンセルの割合を変更いたしました。
HPの宿泊のご案内の変更はもう少々お待ちください。

当日7:00以降のキャンセル料➡100%
3日前12:00以降~当日7:00より前のキャンセル料➡宿泊料×10%
上記より前のキャンセル料➡宿泊料×5%

電話予約の場合、1週間前まで受付
(予約金千円振込 返金不可 宿泊費ネット予約より千円高い)

ネット予約の場合、当日7:00まで24時間受付

ネット予約が更にお得になりました!是非ご利用ください!

寝具について

稜線の山小屋では水が少ないので頻繁に洗濯をすることができません。従来であれば、暗黙の了解でいろんな方と同じ布団、同じシーツの上で寝てくださっていたと思います。

コロナ対策ということで、直接肌が触れるものを他者と共有することは難しくなりました。

ですので、直接肌に触れる部分を各自で守っていただくために、

インナーシーツまたはシュラフをご持参ください。

インナーシーツをお持ちでない方は小屋で¥2090にて販売させていただいております。お持ちでない方は小屋でご購入ください。

寝具はございます。写真のように敷布団、毛布、シュラフのセットをご用意しております。また、飛沫防止カーテンで1畳ごとに区切らせていただいております。安心してお休みください。

またマスクの着用と消毒グッズも各自でご用意ください。

あくまでもご自身と大切な山の友人を守るために、
みんなで気を付けて安全に営業できたらと思います。

何卒宜しくお願い致します。