立山曼荼羅の世界観を「七福園」で学ぶ
続いてやってきたのが、「大日小屋」から30分ほどの距離にある「七福園」。予定だと三日目の行程に組み込まれていた立山曼荼羅を見ながらの講義を台風の影響で前倒しにしました。
「七福園」は大日岳縦走路の途中にある箱庭のような場所で、「ここから見た景色こそが立山曼荼羅の世界観です」と佐伯さんは言います。
立山曼荼羅とは江戸時代に立山の麓・芦峅寺の宿坊の主人たちが立山信仰の布教のために持参して全国を行脚した絵図のこと。当時のものは51種類現存していて、この日の立山曼荼羅は佐伯さんが地元の学生たちと一緒に現代風にアレンジしたもの。ここに描かれる風景がすべて「七福園」から見ることができるそうです。
「昔の修験者たちは六根清浄(ろっこんしょうじょう:人間に具わった五感と意識を清らかにすること)を合言葉に、大日岳を登って修行に励んだと言われています。七福園の周辺では、平安時代の銅錫杖の一部が見つかっていて、その頃から立山は修行の場になっていたと推測されています」と佐伯さん。快適な登山道具やウェアなどがない時代、修行のために過酷な登山をしてきたといういにしえの修験者たちに思いを馳せました。
(この事業は環境省補助事業で実施いたしました。)
明日へつづく・・・
文:まついただゆき
写真:下城英悟