■想像以上のガチ登山に父娘ピンチ!
翌朝、6時に起床するとすでに多くの人たちが行動を始めていました。山の朝は早いなぁ、なんて思いながら起き上がると、何やら右膝に違和感が…。どうやら、前日に軽くひねって(内緒にして)いた膝が急に痛み出しているようです。冷やさないといけないところを、温泉で温めてしまったことが災いした様子。
「とりあえず、膝をテーピングで固定しておきましょう。あと、トレッキングポールを使うと脚への負担が15%軽減されるので、使ってみましょう」と佐伯さん。たしかに、ポールを使うと痛みがだいぶ和らぎます。早くもガイドさんが同行してくれるありがたみを痛感。
雷鳥沢キャンプ場から大日小屋までは、距離にすると約6km。数字だけ見ると近そうに感じますが、途中2つのピークを通るのでアップダウンが激しいうえに、鎖場やはしごなど、道なき道を進む場所も結構あります。最初のうちはゆるやかな稜線沿いを進んでいくので、絶景を楽しみながら、高山植物の説明に耳を傾けながら歩いていましたが、照りつける太陽にだんだんと体力を消耗していきます。
「まずは奥大日岳というひとつめのピークを目指しましょう。12時くらいに着けるのが理想ですね」と佐伯さん。サッカーをやっている10歳の息子はあふれんばかりの体力でスイスイと登っていきますが、重い荷物を背負っての慣れない岩場や雪渓に、40半ばの筆者はすぐに息が上がってしまいます。
また、8歳の娘は予想以上の激坂の連続からか、早々にリタイア宣言。どんなに励ましてもなだめても気持ちが前向きにならず、このままでは大日小屋までたどり着けないかも…、という事態になってしまいました。それでも「みんなと一緒に行きたい」となんとか気を持ち直して、登山を再開。小さな足で一歩一歩踏みしめ、予定を大幅に遅れること13時過ぎ、ようやく奥大日岳のピークに到着することができました。
標高2611mの奥大日岳からの眺望はとにかく最高で、目の前には鋭鋒・剣岳がそびえ立ちます。また、今までは見えなかったゴールの大日小屋が、(遥か彼方に)目視できるように。
「みなさんよく頑張りました。ここでようやく工程の半分以上は終わりました。この先はさらにアップダウンが続くので、しっかり休んでおいてください」と佐伯さん。昼食に用意してくれた菓子パンをかじり、足りなくなった水分を補給してもらって後半戦に臨みます。
次回「登山は一歩一歩の積み重ね」に続く..
<リンク>
ゆくたび、たてやま
「初心者でも安心! ガイドさんと手ぶらで登山!」
https://yukutabi-tateyama.jp/trekking/
レンタルショップTABO
https://www.tateyama3015.net/rentall
雷鳥沢ヒュッテ
https://www.raichozawa.net/
文:まついただゆき
写真:下城英悟